
10月9日日曜日、天気予報は、雨のち曇り。予備日は設けてあるものの、出場選手達や外国人ゲスト達のスケジュールなどを考慮し、雨が上がったら急いで乾かして、遅いスタートでも日曜日に開催することを決めました。
当日の朝は、しっかり雨!
出場選手達、関係者は、拭き取り用のバスタオルを片手に雨の中集合しました。天気予報どおり昼前に雨は上がり、みんなで滑走面を乾かしました。文字通り「ライダーの、ライダーによる、ライダーのための大会」という幕開け。自分が滑るであろうエリアを入念に乾かしている選手を見て、こちらの緊張感も上がってきました。
まずは、ストリート部門予選から


出場選手は7名。ほとんどが大会経験者で、BGMがレゲエ。ややゆとりすら感じられるような予選でした。入賞常連のトップライダー達は、抑え気味だがパーク全体をしっかり使い、しっかりとメイク、淡々と仕事をこなす職人の様でした。
それとは違い、必ず決勝戦に上がるんだという気迫の選手達。時代は変わる、変えられるという波を全力で起こしているように見えました。

予選から当たり前のように、繰り出されるダウンレールの技の数々。日本のストリートボーディングがエクストリームスポーツとはっきりと言える一つの大きな要素だと思います。ダウンレールですよ!!!

お次はミニランプ予選


出場者は8名。今年はなんと歴代ミニランプ優勝者がひとりも出場していないんです! まさに世代交代が起きていました。新しいチャンピオンの席にいったい誰が座ることが出来るのか?! 性別、年齢を問わない試合に見ているみんなが新鮮な感覚を覚えたのではないでしょうか?! 一つずつの技にスピンIN、スピンOUTが織り交ぜられ、コーピング上での正確なボードコントロールが披露され、エアーのバリエーションが豊富な予選でした。270INは当たり前!?


そして名物、スラロームコンテスト!
今年は、男性2名、女性1名の方が挑戦してくれました。ストリートボード歴1年未満のライダーのみ参加出来るこの種目は、日本ストリートボード界のある意味登竜門! スラロームというシンプルな競技だけに、精神面の様子が勝利を左右してしまう点が面白い。そういう意味で今年のMEN’Sスラロームを制した阿部彦太選手の滑りは、ストリートボード歴4か月とは思えないほどスピーディーなターンの連続でした。そしてWOMEN’Sスラロームに出場してくれたのはなんと日本在住のフランス人美人ライダーのローラさん! やや緊張気味の中、精一杯狙ってましたね! 競技に花が咲きました!
続いては、ガールズボックス部門
朝のエントリー時では、出場者2名の予定でしたが、直前でなんと4名になり、一気に会場が盛り上がりましたね! ウォーミングアップを済ませ、いざスタート! スラロームにも出場したローラが、まさに自分との闘いという雰囲気で集中したスケートをみせてくれました。出場を直前決意した菊池有賀(きくち・ゆか)選手の270OUT、佐藤世里菜(さとう・せりな)選手BS180OUT、みんなの期待に応えるように競技中にどんどんレベルが上がっていってました。
3連覇、強く美しいスケート
そして、3年連続ガールズ部門を制した村松彩葉子(むらまつ・さよこ)選手。やはりどの部門でも優勝する選手は、少し他の選手と様子が違います。フィーブル、スミス、そしてスピンアウトと、しっかりとしたテクニックで、勝つためのある意味冷静で安定した滑り。虎視眈々と確実に取りに行く美しい虎がそこには居ましたね。村松彩葉子選手、強く美しいスケートをありがとう! おめでとうございます!
ミニランプ決勝戦
今回の大会は、遅いスタートだったために、ミニランプ決勝戦が行われる時間帯には、やや太陽が傾き、夕焼けが始まっていました。雨上がりの夕焼け、ビルの屋上から、日本一を決めるには素晴らしすぎるタイミングでした。いよいよミニランプ決勝戦。決勝進出した4名の選手のストリートボード歴は平均4年。4年でここまで出来るのかというくらい、ハイレベルなスノーボードハーフパイプとハイレベルなスケートボードミニランプの演技を混ぜ合わせたような技のオンパレード!!
じわじわ上位に食い込んできております橋詰光一郎(はしづめ・こういちろう)選手。体の大きさが演技をダイナミックに見せ、スピンエアー、特にハンドプラントの迫力は一番だったと思います。試合中、笑顔がこぼれるくらいの精神力、まだまだ上に上がれそうですね!
見事3位入賞を果たした伊藤亘太(いとう・こうた)選手。集中力の鬼、勝ちを取りに行く真剣な姿勢が演技全体に表れていましたね! 毎年大会出場を経験し、ようやくこのステージ、この領域の選手に成長してきました。次世代のスター性を匂わせる完璧なFS540エアー!!
準優勝、武田亮(たけだ・りょう)選手。言わずもがなスウィッチマスター! 体操選手になっても結果を出せる身体能力の高さ、明らかに他の選手とは違った領域で脳と体を機能させております。スウィッチの世界を誰よりも奥へ奥へと進んでいます。スウィッチアーリーウープ! 見たことありますか?! スウィッチFS540エアー! コーピングの遥か上の高さで! スウィッチコンテストなんていうものがあったら間違いなく世界トップランカーですね!
最年少チャンピオンの誕生
そして今年のミニランプ部門優勝者、中村颯冴(なかむら・そうが)選手。最年少チャンピオンの誕生です! 年齢10歳、ストリートボード歴3年、日本ストリートボード協会が発足された年に産まれた少年がちょうど10年目、10歳で日本一に辿り着きました。スポーツ界では、颯冴選手のように若い選手が活躍する進歩が著しく見られますが、ストリートボード界も彼の成長のおかげでググッと進化しております。やはり優勝する選手の演技には、他の選手の持つ得意性をまずは網羅し、その先に彼にしか出来ない表現が足されていくんですね。FS360テールブラントからのミラーフリップ! 圧巻の演技、お父さんとの作戦、準備も含めて完璧な勝利、おめでとうございます!

ストリート部門決勝戦
さてさて、大会フィナーレを飾るストリート部門決勝戦。決勝進出をはたした5名の選手。昨年の大会から日本の全日本大会を世界大会基準に近づけるためにスタートしたストリート部門。パーク全体を使用するため、加速、セクションごとの技のバリエーション、そして60秒という長い演技時間など、ストリートボーディングのすべてが必要とされる種目です。

武田亮選手、オープニングからダウンレールでの50-50toリップスライド。一回のダウンレールで、加速度が増していく中、グラインド技からボードスライド技へ切り替えの素晴らしさ、クォーターパイプでのエアーはHUGE!

中村颯冴選手、ミニランプ部門に続き決勝進出。体力脚力が必要なストリート部門において、相当きつかったと思われますが、立派に滑りきってました。FS540エアーでのRtoフラット。体力極限の中でのラストトリック、FSリップスライド180OUTは底力を見せてくれました。

第3位入賞、宇田川修人(うだがわ・しゅうと)選手。彼が滑り始めると本当に絵になるというかSHOW的な雰囲気に包まれます。外国での経験を活かし、ワールドスタンダードを日本に教えてくれます。彼をストリートボーダーとして育ててくれたセルジ・ニコラス、ガビ・ムニョスを前に、彼らの十八番芸、フェンスからのドロップ、ファンボックスでのバックフリップを堂々と披露していました。後半は、BOOST修人選手が出現し、ケガにもつながってしまうほどの大技にTRYし、出来る! と思う強さを見せつけてくれました。


準優勝は、伊藤亘太選手。ミニランプ入賞に続き、ストリート部門での準優勝! 大きな大きな成長を見せてくれました。所属するチームのリーダーと共に築き上げてきたスキルの集大成、完成度、”準”優勝者にふさわしい試合に勝つというしっかりとした演技を披露してくれました! テールスライド、ノーズグラインド、BSリップスライド。ボードの各パーツの使い方を教えてくれているかのような技の幅広さを見せてくれました。


チャンピオンに輝いたのは「試合の達人」

さあ、2016年全日本大会にてチャンピオンに輝いたのは、伴場光之介(ばんば・こうのすけ)選手。ストリートボーディングは、サーフィン、スノボー、スケボーの3つスポーツがミックスされたスポーツと言っても過言ではない。それを大会決勝戦でのライディングで証明してくれました。そして審査対象の、スタイル、テクニカル、エアー、クリエイティブのすべてにおいてのアピール度合、訴求ポイントがすごくはっきりとしていて、本当に試合の達人だなと思いました。
メイクはしなかったものの、フロントフリップのスタイルは最高にかっこ良く、Kグラインド、クオーターパイプでのFS540エアー、ダウンレールを滑り上がる加速力とアイデア。そして最後のラストトリックでは、カウントはされてませんが、スウィッチノーズグラインドをダウンレールでメイクしました。審査員を含め見ていた世界チャンピオン達が真顔で”お手上げだ! ”と言っていました。ぜひ今後、海外での活躍も見てみたい日本のチャンピオンです。本当に素晴らしい演技を見せてくれてありがとうございました。そして、おめでとうございます!!

第6回全日本ストリートボード選手権大会 結果
<アグレッシブ部門>
〇ストリート

- 優勝 伴場光之介(東京都)
- 準優勝 伊藤亘太 (埼玉県)
- 第3位 宇田川修人(静岡県)
〇ミニランプ

- 優勝 中村颯冴(東京都)
- 準優勝 武田亮 (神奈川県)
- 第3位 伊藤亘太(埼玉県)
〇ガールズボックス

- 優勝 村松彩葉子(東京都)
- 準優勝 佐藤世里菜(東京都)
- 第3位 菊池有賀 (神奈川県)
<ノーバインディング部門>
〇スラローム

- Women’s 優勝 ローラ・アブラハム
- Men’s 優勝 阿部彦太
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